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課題レポート

レポート提出再び

黒い時計の旅 (白水uブックス)作者: スティーヴエリクソン,Steve Erickson,柴田元幸出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/08/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 115回この商品を含むブログ (128件) を見る 昨日、読書会のレポートをアップして、ほっと…

「スティーヴ・エリクソンによると世界は」 辻夏悟

黒い時計の旅 (白水uブックス)作者: スティーヴエリクソン,Steve Erickson,柴田元幸出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/08/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 115回この商品を含むブログ (128件) を見る い、いちおうレポート書きますた。ご笑納くだ…

「スティーヴ・エリクソンによると世界は」 辻夏悟

S.E 本質的には、ぼくの書いているのは因習的とはいえなくても至って伝統的な小説なんだよ。というのも、扱っている葛藤や主題が、いわゆるポストモダン作家とはおよびもつかないくらい伝統的だから。(ラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』P245) S.E …

「黒い時計の旅」を読むための覚え書10章 松浦綾夫

――「俺が神話を変えてやるよ」(バニング・ジェーンライト) 1 アメリカ→ヨーロッパ→アメリカへ アメリカからオーストリア、ドイツ。そして、再びアメリカへと帰還する主人公バニング・ジェーンライトの旅の道程はなにを意味するのか。アメリカというフロンテ…

「XからZへ―――やっぱりアメリカの危機?」 nahochika       

スティーヴ・エリクソン。あのピンチョンが絶賛したという作家の作品ということで、軽妙なパラレルワールドが展開されるのでは? と期待してチョイスしてみた。 しっかし、この人に関しては言葉遊びやパラレルワールドを行き来するための軽妙な仕掛けに力点…

これがどんな小説かっていうともう「わかってくれるさRCサクセション」? 南野うらら

黒い時計の旅 (白水uブックス)作者: スティーヴエリクソン,Steve Erickson,柴田元幸出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/08/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 115回この商品を含むブログ (128件) を見る あのー…これ…次の読書会の課題テキストなんで…

「終わらない“20世紀”」 極楽寺坂みづほ

たいへん欲張りな小説だと思う。「20世紀文学」的なボリュームとテーマ性、重厚さを背負いながら、なおアクション映画的な見せ場やミステリー風味などのエンタテインメント的要素もふんだんに盛り込まれている。バニング・ジェーンライトのトリックスターぶ…

「物語」の博物館 〜スティーヴン・ミルハウザ−『バーナム博物館』論〜 松浦綾夫

短篇集『バーナム博物館』はどこから読んでもおもしろい。 全編に作者の物語への愛が満ちているのである。 「シンドバッド第八の航海」を読みながら、私はむしょうに『千夜一夜』が読みたくてならなかった。「アリスは、落ちながら」では『不思議の国のアリ…

「『バーナム博物館』に、ちょっと困りました」 南野うらら

ちょっと困りました。『バーナム博物館』はなかなかいいと思うんだけど、だからといって大喜びして誰かにすすめたくなるものでもないし、熱狂して何度も読み返したくなるような作品でもない。つまり、食べ物でいえば、とびっきり高級品のジェリービーンズか…

「バーナム博物館」感想 内海惟人

「バーナム博物館」に収められているどの短編も、読んでいて愉しい。それはひとつひとつが方法論的にはっきりとした特徴をもち、かつ退屈させない筋と適度な長さで書かれているからだろう。そういう意味でこの短編集は文学産業の「商品」として標準的、いや…

脳が拒絶する細部―――スティーヴン・ミルハウザーの「発明」 極楽寺坂みづほ

読み通すのに時間がかかる本とそうでない本の違いは、どこから出てくるのだろうか。 緻密な文体と空疎な文体。まっさきに思いつくのはそれだ。情報の密度が高い文章であればあるだけ、提示された情報を脳が処理する1行あたりの時間が長くなるのは当然だろう…

カさん(仮称)「僕って何・1986」

先頃、『団塊パンチ』という雑誌が発売されたが、ポール・オースターの生まれた年を見て、ああ、この人も日本で言えば団塊の世代なんだ、と妙に納得してしまった。 一読してのコメントは、特に目新しいところがなかった、という、感想ともいえない感想である…

コさん(仮称)「友人をめぐる物語」

実は、海外小説はちょっと苦手だ。横文字に弱いのと、海外物に特有の皮肉や反語的な言い回しに、今ひとつなじめないのだ。そういうわけで、オースターも恥ずかしながら今回が初めて(もしかして爆弾発言?)。すごい作家らしいが、自分に魅力が理解できるか…

「物語/アメリカ/鋳型(プレス)」 松浦綾夫

気づけば、10年以上も前からとぎれなく新作の出るオースターはいつも話題になり、天邪鬼な私はあえて読まずにきた。今回、はじめて『鍵のかかった部屋』を読み、驚いた。これはまるで村上春樹の『羊をめぐる冒険』であり、『ダンス・ダンス・ダンス』であ…

「男の嫉妬ってこわい。」なほちか

ポールオースター。このオイスターソースみたいな名前の作家の知名度は意外と高い。あまり、読書しなさそうな人にもオースターは読まれている。その魅力はなんなのだろう。 『鍵のかかった部屋』のテーマとはずばり、男の友情と嫉妬だ。人気者だった幼なじみ…

「二度目の青春のハンパな終わらせ方」南野うらら

きっと二種類の青春がある。十代終わりから二十代初めの頃。もうひとつは、二十代終わりから三十代初めの頃。最初の葛藤は、恋愛や友情の成就、将来の目標を意識すれば未来はひらかれる。けれど実際に重要なのは後者の方だ。引き伸ばされたモラトリアム。さ…

極楽寺坂みづほ『鍵のかかった部屋』書評(採点付き)

『魔王』(伊坂幸太郎)を100点として370点 オースターは「引き裂かれた人」だ。聖と俗、孤高と迎合、唯一性と凡庸性、どう言ってもいいが、彼を引き裂いているのはこの「高みと低み」の両極だ。一部の評者が絶賛する「孤高の」詩人として終わるにはあまりに…

「オースターの3原色」月立 晶

「幽霊たち」を100点とした場合、75点。 「太陽は過去であり、地球は現在であり、月は未来である」。これは『ムーン・パレス』の中で、中華料理屋のクッキーに書かれていた言葉だ。それぞれ色にたとえると、太陽は“赤”、地球は“青”、月は“白か黄”…あた…

『ナジャ』を読む 辻夏悟

「私とは誰か?」で始まるこの小説。そもそも僕にとっては「アンドレ・ブルトンとは誰か?」、「シュルレアリスムとは何か?」というレベルの話だったので、まず一応、基本的なことだけは勉強してみた。巖谷國士の『シュルレアリスムとは何か』(ちくま学芸…

シュルレアリスムの女神〜アンドレ・ブルトン『ナジャ』を読む〜 松浦綾夫

愛した女への思慕をつづり、写真をコラージュし、小説だか、日記だか、論文だか、判然としない、フリーなスタイルのテクスト。これって今なら、ウェブ日記とかでよくあるけど、1928年に書かれた、ってことを考えると、斬新だよね。 白水Uブックスの『ナ…

ナジャってなんじゃ?(勝手に読んで何がいけない!) 奈保千佳

シュルレアリスムというと私は文学より美術の方に馴染みがあり、小説を読むのは多分初めて。読みはじめてうーん、よく分からない。読み終えてもなんか狐につままれたような、感じ。でも、なんだかとっても切ない気持ちになる。ナジャに会いたいっていう著者…

「20年越しの『検証』」 極楽寺坂みづほ

私は知った。「巖谷國士」が「イワタニ・コクシ」ではなくて「イワヤ・クニオ」であることを。私はこの名を幼い頃から非常にしばしば目にしていたと思う。「思う」と言うのは、それが今私の目の前にNTTドコモの景品である「ドコモダケ」が存在していると…

『ナイス・ナイス・ヴェリ・ナイス! 〜五木寛之「白いワニの帝国」を読む』 辻夏悟

五木寛之氏の「白いワニの帝国」を読む。 おいおい。何だよ、この面白さ。 一体、このハッピーな感じ、ライトな感じ、ポップな感じ、ナイスな感じはどこから来ているんだよ。 まさにナイス・ナイス・ヴェリ・ナイスじゃないか。 日々、ナイスなものの方へ、…

「総論・のようなもの」 松浦綾夫

そういえば… 『日本幻想短編小説集1』の総論みたいなものを述べるのを忘れていた。 ザザザッと、書く。 1 五木寛之「白いワニの帝国」がよかった。 今読んでもとてもおもしろく読めるし、新しい。 この小説がこんなにポップなのは、主要な登場人物である永…

「視るという病〜江戸川乱歩「押絵と旅する男」論〜」 松浦綾夫

「押絵と旅する男」(1929)を読んでいて、おもしろい発見をいくつかした。 ひとつは江戸川乱歩という作家の視覚・映像への異常なこだわりである。 もうひとつは乱歩がこの短編で選んだ浅草という場所の意味づけである。浅草の地誌については、同じ頃の…

「くだんのはは」 戦時下のホラーを味わう 奈保千佳

日本の幻想文学・・・といわれて、すぐに名前が浮かぶのは澁澤龍彦とか夢野久作などといった人だろうか。「日本幻想小説傑作集」とあったので、なんかエタイの知れない、読みにくいマイナー作家の話が連なるのかなぁと思っていたら、そんなことはなくて、こ…

「アンソロジーは美味しい」南野うらら

短編小説のアンソロジー美味しいですね。カラーの違う短編で飽きないし、一定のクオリティを保証されている安心感もあっておトク。収録されている14の短編はどれも読み応えがありますが、私が特に気に入ったのは「くだんのはは」(小松左京)と「二ノ橋 柳…

「幻想小説」とはなにか 内海惟人

「幻想小説が読みたい」と思ったことはない。そもそも「幻想小説」という発想がなかったからだ。もちろん」世の中に「幻想小説」なるものがあってファンがいるらしいということは薄々感づいていたが、それがなんであるかは全く興味の外であった。 今回この『…

「愛ルケ」だけでは哀し過ぎる―幻想文学における純愛の可能性について 月立 晶

「いま、純愛ブームだという。肉体関係がない、精神的なつながりだけの愛が純粋だと思いこむ。だがそれは単に未熟な幼稚愛にすぎない。精神と肉体と両方がつながり密着し、心身ともに狂おしく燃えてこそ、愛は純化され、至上のものとなる。今度の小説は、そ…