140-01-01から1年間の記事一覧
短篇集『バーナム博物館』はどこから読んでもおもしろい。 全編に作者の物語への愛が満ちているのである。 「シンドバッド第八の航海」を読みながら、私はむしょうに『千夜一夜』が読みたくてならなかった。「アリスは、落ちながら」では『不思議の国のアリ…
ちょっと困りました。『バーナム博物館』はなかなかいいと思うんだけど、だからといって大喜びして誰かにすすめたくなるものでもないし、熱狂して何度も読み返したくなるような作品でもない。つまり、食べ物でいえば、とびっきり高級品のジェリービーンズか…
「バーナム博物館」に収められているどの短編も、読んでいて愉しい。それはひとつひとつが方法論的にはっきりとした特徴をもち、かつ退屈させない筋と適度な長さで書かれているからだろう。そういう意味でこの短編集は文学産業の「商品」として標準的、いや…
読み通すのに時間がかかる本とそうでない本の違いは、どこから出てくるのだろうか。 緻密な文体と空疎な文体。まっさきに思いつくのはそれだ。情報の密度が高い文章であればあるだけ、提示された情報を脳が処理する1行あたりの時間が長くなるのは当然だろう…
バーナム博物館 (白水uブックス―海外小説の誘惑)作者: スティーヴンミルハウザー,Steven Millhauser,柴田元幸出版社/メーカー: 白水社発売日: 2002/08/01メディア: 新書購入: 6人 クリック: 27回この商品を含むブログ (58件) を見る 自動人形、盤上ゲーム、…