●1999年から続く文化系サラリーマンたちの読書会。白水社さんを勝手に応援中です。
●メールはu_ken7@yahoo.co.jpまで。
●当ブログのコンテンツ
U研って何?メンバーこれまでの歩み活動レポート掲示板リンク集

[日誌]ルソー『告白』を読む③

俺がルソー『告白』に苦戦していると聞きつけた、U研メンバーの内海さんがメールをくれた。

『告白』を読むために参考になるかどうかわかりませんが、ルソー受容の概要を思いつくままにメモしておこうと思います。

(日本)
なんといっても中江兆民の『民約論』でしょう。
こうした試みは明治時代における日本への最新思想の導入のひとつとしてなされたわけですが、その関心は政治論、社会思想というところにあるでしょう。
鹿島茂の『ドーダの近代史』後半に経緯が書かれていて面白い。

その次に鴎外訳の『懺悔録』(『告白』のこと)がありますが、その影響及び評判の解説は怪鳥にお任せしたいと思います。

いきなり戦後にとんで京大人文研究所の共同研究による桑原武夫編の『ルソー研究』(続いて『ルソー論集』)が日本におけるルソー研究のピークかと思います。
しかし中身をみると、やはり社会思想、政治思想、教育思想といったところが関心の中心にあることがわかります。
要するに、フランス革命に影響を与えた思想家ルソーというのがその理由で、戦後の主流の思潮であったマルクス主義側にとって乗り越えられるべき思想としてルソーを研究する必要があったのでしょう。
あと、西洋哲学、思想の中でも、ゲーテ、カント、ヘーゲル等々に影響を与えたということからも読まれたものと思われます。

で、一方フランス文学プロパーの中でどうかというと、スタロバンスキーの『透明と障害』など新批評を除くと、あまり研究の中心にあるとは思えない。18世紀の文化、思想を俯瞰するなかでどう位置付けるかという関心になっていると思います。
また「現代思想」が79年に別冊で特集したとき、副題が「ロマン主義とは何か」となっており、当時の関心のありどころがわかります。

なるほど…。『ルソー研究』の「人間ルソー」を読むべしとのメッセージもいただいた。

いったい人はどうして誰かの自伝・伝記を読むのだろう? 『告白』はルソーの死後出版とのことだが、当時の人にどう受容されたのか。そもそもその頃の出版物はどんなジャンルのものが多かったのか。その中に置いたとき、『告白』はどんな見えかたをしたのか。

ひとまず『告白』の第2巻を読み始める。ルソーが愛したヴァランス夫人という女性が出てくる。恋愛の話ってとにかく興味ないんだよなーと、またしても苦戦の予感。『マイルス・デイビス自叙伝』のマイルスとフランシス・テイラーの痴話喧嘩なんかであれば、楽しく読めるんだが。結局、ルソー本人に対する興味の欠如が原因だろう。俺の問題なので、読書会までには何とかしたい。