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U研って何?メンバーこれまでの歩み活動レポート掲示板リンク集

これまでの歩み


白水Uブックス研究会 活動全記録
(構成:松浦アヤヲ/編集:辻夏悟)


1999年


4月1日


 松浦綾夫、辻夏悟、同じ会社に入社し、お互い文学の趣味があると知って、意気投合。松浦の「ふだんあまり読む機会のないラテンアメリカ文学のような、だれからも関心が等しく遠い作品をテーマにした読書サークルができないだろうか」という誘いに、辻が「ええ? ラテンがどうしたって?」と共鳴。直ちに社内文学サークルの結成に向けて、本業の仕事そっちのけで社内で密かに同好の士を募る(辻は、仕事場で前の席に座っていた月立晶に「あのー、文学サークルやりますから」と声をかける)。ラテンアメリカ文学研究会(白水Uブックス研究会の前身)の準備期間。


6月28日  


 都内某所の居酒屋にてラテンアメリカ文学研究会の発足準備会合。メンバーは同じ会社に勤務する社員の先輩後輩たち。月立晶(入社6年目)、極楽寺坂みづほ(入社6年目)、南野うらら(入社4年目)、松浦綾夫(入社1年目)、辻夏悟(入社1年目)の5人。なお、月立と極楽寺坂はかなり以前から2人だけで文学についての呑み会を開いていた。極楽寺坂は、初対面の松浦、辻の生意気さにびっくり。「失礼な新人」との印象を持つ。

 この回で単なる呑み会に流れないように、毎回事前に各人の持ち寄ったレポートを持ち寄り、コピー紙で会報をつくることが決定。会の結成を言い出した本人の松浦が以降、雑務を最も多く手がける会長役に、会報の編集・レイアウトは辻が担当することになった。


9月22日 


第1回ラテンアメリカ文学研究会開催。会報が毎回発行されることに…。


■会報創刊号 特集 ガルシア・マルケスエレンディラ

極楽寺坂みづほ「マルケス吉田戦車における普遍性の意味」 
・辻夏悟「無題」
・松浦綾夫「物語の向こう〜マジック・リアリズムは新しいか、古いか」
・南野うらら「『エレンディラ』覚え書」
・月立晶「『エレンディラ』−出来損ないの神話」


11月18日 


第2回ラテンアメリカ文学研究会開催。2回目にして南野が欠席。男性だけの呑み会だけに、シモネタで盛り上がるが、最後には寂寥感が残った。


■会報第2号 特集 『ラテンアメリカ文学五人集』

極楽寺坂みづほ「ラテンアメリカ五人集って最初「五人衆」かと思ってました」
・南野うらら「オクタビオ・パス『白』について」
・辻夏悟「失われた「 」を求めて」
・松浦綾夫「幼年詩篇


2000年


1月20日 


第3回ラテンアメリカ文学研究会開催。この回からメンバーに奈保千佳(入社3年目)が加入。晴れてメンバー6名での活動開始となる。女性が増えて辻、喜ぶ。


■会報第3号 特集 ホルへ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』

・松浦綾夫「言葉の先へ〜「ボルヘスの図書館」をめぐって」
・辻夏悟「僕とボルヘスの事情」
極楽寺坂みづほ「絶望の人ボルヘス
・南野うらら「ボルヘス『伝奇集』覚え書」
・月立晶「時間旅行者は電気ナマコの夢をみるか?」


3月10日 


第4回ラテンアメリカ文学研究会開催。


■会報第4号 特集 マヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』

極楽寺坂みづほ「ノンケ男の作為」
・松浦綾夫「映画に召された作家〜私はプイグを批判する」
・辻夏悟「終わりの指す方へ−マヌエル・プイグ試論−」
・ 月立晶「蜘蛛女のキスをめぐる脳内感傷旅行(夢でもし逢えたら・・・)の、制作計画書」
・ 奈保千佳「人間映写機モリーナの限界」


4月28日 


第5回ラテンアメリカ文学研究会開催。


■会報第5号 特集 ドノーソ『三つのブルジョア物語』

・月立晶「きままな独身者の告白」
極楽寺坂みづほ「ある自虐の詩
・南野うらら「『三つのブルジョア物語』より−「緑色原子第五番」を読んで」
・奈保千佳「肉体の不甲斐なさとその限界」
・松浦綾夫「欠落の力〜ドノーソ論」
・辻夏悟「ドノーソ。新宿。スターバックス。午前八時。」


6月16日 


第6回ラテンアメリカ文学研究会開催。


■会報第6号 特集 ビオイ・カサレス『豚の戦記』

極楽寺坂みづほ「老いたるは及ばざるがごとし〜ビオイしてカサレする50の方法」
・南野うらら「豚の戦記−特に主人公が戦っているわけでもないのになぜ「戦記」か?」
・松浦綾夫「雨は降るがままにせよ」
・辻夏悟「天気が悪いので『豚の戦記』でも読んでみた(植草甚一風に)」
・奈保千佳「アサオちゃん登場の意義から考察する『豚の戦記』から発せられるもの」


9月9日 


第7回ラテンアメリカ文学研究会開催。山中湖畔で第1回合宿を行う。読書会だけでなく、南野による占星術講座などが催される。松浦、辻は得意のウクレレを二人で披露。失笑と罵声と完熟トマトと生卵の嵐を浴びる。


■会報第7号 特集 カルロ・フェンテス『老いぼれグリンゴ

極楽寺坂みづほ「死にたきゃ勝手に死ね」
・南野うらら「フェンテス『老いぼれグリンゴ』を読んで〜歴史小説の効用〜」
・松浦綾夫「ビアスにまつわるエトセトラ」
・奈保千佳「老いぼれグリンゴという人のイメージとは」
・辻夏悟「読書感想文」


11月10日  


第8回、最後のラテンアメリカ文学研究会開催。「終了」(C TMN)の理由は1年半にわたる活動を続け、文庫本で入手できる名作はあらかた読みつくしたため。当時、たまたま同部署で働いていた松浦と辻が仕事の合間に雑談しながら、その場のノリで「白水Uブックス研究会」に会の名称を変更。新たな文学の水脈を探る。


■会報第8号 特集 ガルシア・マルケス予告された殺人の記録』〜ラテンアメリカ文学研究会 最終号〜

極楽寺坂みづほ「予定された後悔について」
・南野うらら「『予告された殺人の記録』に関するおぼえがき。」
・奈保千佳「だれの名誉が守られたのでしょうか。」
・松浦綾夫「ガルシア・マルケスへの手紙」
・辻夏悟「マルケスを読みながら、いろんなことを考えた」


2001年


2月9日 


都内某所の料理店で第1回白水Uブックス研究会の発足式。同時に、テクストの選定やテクストを談じるにふさわしい会場を設定する役・キュレーター制度を持ちまわりで行うことが決定(それまでは毎回同じ都内某所の安居酒屋に居ついていた)。ともすれば会社の愚痴やシモネタ話に流れがちだった会合の雰囲気が引き締まり、グッと文学の香りが高まる。


■会報第9号 特集 ジュリアン・バーンズフロベールの鸚鵡』〜白水Uブックス研究会活動開始 創刊号〜

・「創刊に寄せて」
・月立晶「わがままは女の罪、それを許さないのは男の罪」
極楽寺坂みづほ「健全なファン心理とは」
・南野うらら「フロベールの鸚鵡が面白いってことは」
・奈保千佳「「好きより勝るものはなし」が徹底している姿は神々しくもある。」


4月27日 


第2回白水Uブックス研究会開催


■会報第10号 特集 J.D.サリンジャーライ麦畑でつかまえて

・月立晶「風博士ふたたび」
・南野うらら「私が、「ライ麦畑」を読んだわけ」
・奈保千佳「サリンジャーにまつわる記憶」
・松浦綾夫「その言葉の行方」
・辻夏悟「サリンジャー! サリンジャー!」


6月29日 


第3回白水Uブックス研究会開催。フランス料理店にてフランス文学を談じる。


■会報第11号 特集 マルグリット・ユルスナール『東方奇譚』

《読書の手引き》南野うらら「とりあえず、一言」
・月立晶「ある詩人の独り言」
極楽寺坂みづほ「「外部」なき時代のexoticisme」
・南野うらら「ユルスナール・リスペクト!(微弱電波版)」
・奈保千佳「なにがどうっていうわけではないけど、程よいトリップ感覚がある不思議な物語でした。」
・松浦綾夫「絵画=文学論〜ユルスナール『老絵師の行方』その他を手がかりに」
・辻夏悟「k.k.氏のスクラップブック1 何かに夢中になったり、飽きたり」


9月14日 


第4回白水Uブックス研究会開催。ドイツ料理屋にてドイツ文学に興じる。


■会報第12号 特集 プレンツドルフ『若きWの新たな悩み』

・月立晶「ウェルテルの場合/高峰博士の場合/ウィボーくんの場合」
極楽寺坂みづほ「想像文・若きWのあらたな悩み」
・南野うらら「若きWの新たな悩み」
・松浦綾夫「雨よ、すべてを洗い流す雨よ」
・辻夏悟「大人にならない、そのわけ」


2002年


1月20日 


第5回白水Uブックス研究会開催。松浦綾夫邸にて。寿司と松浦手作りのおでんをご馳走になる。


■会報第13号 特集 ジョン・ファウルズ『コレクター』

極楽寺坂みづほ「『コレクター』考」
・南野うらら「『コレクター』って、やっぱりこれでいいんですか?」
・奈保千佳「言い訳男の成長日記」
・松浦綾夫「完全なる密戯〜ジョン・ファウルズ『コレクター』をめぐる二、三の事柄」
・辻夏悟「胸が痒いほどに騒ぐ夜もあるさ、ほんの些細な言葉思い出して」


3月22日 


第6回白水Uブックス研究会開催。


■会報第14号 特集 シェイクスピア『夏の夜の夢』

・南野うらら 解題『ジュリアス・シーザー〜陰惨で華麗な教訓劇』
・月立晶「愛する人よ、涅槃で待つ―アセンズの森にて―」
極楽寺坂みづほ「それが問題だ!」
・奈保千佳『夏の夜の夢』覚書
・松浦綾夫「妖精たちが騒ぐので」
・辻夏悟『真夏の夜の夢


6月14日 


第7回白水Uブックス研究会開催。アメリカンな店でアメリカ文学について語る。


■会報第15号 特集 ポール・ラドニック『これいただくわ』

極楽寺坂みづほ「内田康夫ニューイングランドの殺人事件を描くか」
・南野うらら「『これいただくわ』を読んで、けっこうまじめに考えたこと思ったこと」
・奈保千佳「付け焼刃的に『これいただくわ』についてなんか書いてみた。」
・松浦綾夫「だから、ぼくはなにもいらない」
・辻夏悟「これしかないんだ。見つけたものは。」


8月16日 


第8回白水Uブックス研究会開催。


■会報第16号 特集 マッカラーズ『悲しき酒場の唄』

・月立晶「詩篇『12人の男』およびその献辞『哀しき酒場の唄』について」
極楽寺坂みづほ「心とは闇なるものと見つけたり」
・南野うらら「まずは課題図書の感想走り書き」
・松浦綾夫「マッカラーズ・マッカラーズ」
・辻夏悟「ア・パウンド・オブ・ブルーズ」


11月3日 


第1回文学フリマ青山ブックセンター)に参加。ブースを構え、自分たちで印刷・製本した冊子を持参して出展。用意した部数は閉会を待たず完売した。来場者は全体で1000名に迫った。これ以降、内海惟人(当時、非会社員)を時々ゲストに迎え、計7名で活動。


■会報第17号 特別号 一億三千万人のための高橋源一郎入門〜文学フリーマーケット緊急記念号〜

・松浦綾夫 巻頭の辞
・南野うらら イントロダクション「高橋源一郎って誰だっけ?」
・レッスン1 GTについてまじめに考える
 松浦綾夫「転向者の文学―『さようなら、ギャングたち』論」
・レッスン2 GTゆかりの地/人を訪ねてみる
 奈保千佳「それなら行こう! 石神井公園撮影記」
 奈保千佳「高橋源一郎から微妙に離れて」
・レッスン3 GTと英文学について考える
 辻夏悟「ぼくがトラウマ語をしゃべった頃」
・レッスン4 GTの分身にインタビューする
内海惟人「高橋源一郎は変わったか?−「<正義の味方超人マン>」高橋サンとの対話―」
・レッスン5 GTの文体で小説を書く
 極楽寺阪みづほ「GTの唄なんか聞こえない」
・レッスン6 GTのことを考えながら小説を書く
 月立晶「高橋源一楼の崩壊」
・レッスン7 GTを女子短大生に読ませてみる
 辻夏悟「女子短大生に源一郎を読ませる50の方法」
高橋源一郎(ほぼ)全小説作品一口批評
・U-KENメンバー紹介
・編集後記<特別付録>南野うらら「ふたつ小説教室をめぐって―大塚英志高橋源一郎


12月20日 


第9回白水Uブックス研究会開催。  


■会報第18号 特集 タブッキ『遠い水平線』

<小特集>今の時代、あなたが読みたい小説とは?<小特集>ベストヒット2002<課題論文>
極楽寺坂みづほ「捜す者と捜される者との間」
・奈保千佳「ここに存在する理由」
・松浦綾夫「探偵学入門」
・辻夏悟「僕は感想文が書けない〜『遠い水平線』を読んだり、読まなかったり、いきおいで結婚してみたり」


2003年


4月4日 


第10回白水Uブックス研究会開催。


■会報第19号 特集 ジョン・アップダイク『走れウサギ』

・月立晶「カエルくんは東京を救うがウサギくんは何も救えない」
極楽寺坂みづほ「走るダメ人間をめぐる3つの謎」
・奈保千佳「走れダメ男」・松浦綾夫「地を這うように」
・辻夏悟「風向きが変わる。その瞬間まで」


6月13日 


奈保千佳、写真個展『静かなる声』(新宿御苑・プレイスM)で開催。メンバー全員で観に行く。


6月27日 


第11回白水Uブックス研究会開催。


■会報第20号 特集 マンディアルグ『オートバイ』

<小特集>奈保千佳写真展「静かなる声」レポート集<課題論文>
・月立晶「二人の女〜マンディアルグ『オートバイ』について〜」
極楽寺坂みづほ「レーモン・ニュル氏の生活と意見」
・松浦綾夫「異端者の哀しみ」
・辻夏悟「アウトバーン


8月22日 


ユーケン5周年突入記念会を開催。横浜にてサンセットクルーズ乗船。これまでの道程をしみじみふりかえる。辻夏悟責任総編集によるベスト集記念誌が船上で頒布される。無意味に豪華な内容にメンバー大喜び(辻談)。


■会報第21号 特別号 U-KEN CHRONICLE〜白水Uブックス研究会年代記

・対談 松浦綾夫×辻夏悟「あの頃、僕らは馬鹿だった」(インタビュー・南野うらら)
・松浦綾夫「松浦日記で振りかえる白水Uブックス研究会」
・5周年へのメッセージ(月立晶、極楽寺坂みづほ、南野うらら、奈保千佳、松浦綾夫、辻夏悟)
白水Uブックス研究会写真館
・対談 月立晶×極楽寺坂みづほ「ファンダメンタルな二人」(インタビュー・辻夏悟、松浦綾夫、奈保千佳)
白水Uブックス研究会の歴史 <創作>辻夏悟、松浦綾夫による追懐記4作品<グレイテストヒッツ白水Uブックス研究会論文集>
・月立晶「時間旅行者は電気ナマコの夢をみるか?」(再録)
極楽寺坂みづほ「『コレクター』考」(再録)
・内海惟人「追悼 吉原幸子」(再録)
・南野うらら「オクタビオ・パス『白』について」(再録)
・奈保千佳「サリンジャーにまつわる記憶」(再録)
・松浦綾夫「言葉の先へ〜「ボルヘスの図書館」をめぐって」(再録)
・辻夏悟「僕とボルヘスの事情」(再録)
・永久保存版・会報バックナンバー完全目録


9月26日 


第12回白水Uブックス研究会開催。


■会報第22号 特集 イタロ・カルヴィーノ『木のぼり男爵』

・松浦綾夫「『カルヴィーノの文学講義』抄」
・月立晶「黄昏の王領―所有の不可能性」
極楽寺坂みづほ「交錯するユートピア〜樹上生活者の見果てぬ夢」
・南野うらら「『木のぼり男爵』を読んで」
・奈保千佳「『木のぼり男爵』に寄せて・木登り論」
・松浦綾夫「木上生活者の手記」
・辻夏悟「うまくいくといいね。呼吸が合うといいね〜『木のぼり男爵』と『僕だけのマドンナ』」


11月3日 


第2回文学フリマ青山ブックセンター本店)に参加。『一億三千万人のための高橋源一郎入門』も再版して販売。昨年に続き、用意した部数は完売。女性2人が猫耳コスプレ実施。意外と好評を博す(?)。またフリマ自体も大盛況のうちに終わる。『季刊 本とコンピュータ』の取材を受ける(取材記事は2003年冬号に掲載)。


■会報第23号 特別号 大島弓子だって文学である〜文学フリーマーケット緊急記念号〜

・松浦綾夫 巻頭の辞<Ⅰ 評論>
・松浦綾夫「生の方へ〜見えるもの」と「見えないもの」〜大島弓子論」
・辻夏悟「世界を肯定する漫画〜ヤングアダルトのための大島弓子選集ガイド〜」
・南野うらら「変則的大島弓子論・流れる時の中で〜私は私の国の王女様、そして人民〜」
・内海惟人「大島弓子のために」
・奈保千佳「弓子と文子の違いを思いつくままに述べてみた」<Ⅱ 創作/随筆>
(小説)極楽寺坂みづほ「綿の毒虫」
(連作詩)月立晶「四つのソネット・弓子抄」
(写真・随筆)奈保千佳「雨の吉祥寺、はな子に会いに行く」

・月立晶「「おじさま」が印象的な作品5選」
極楽寺坂みづほ「80年代終盤短篇5選」
・内海惟人「ちょっと風変わりな恋愛物語5選」
・南野うらら「女の子同士の想いがせつない作品5選」
・奈保千佳「再読せずにはいられない作品5選」
・松浦綾夫「誰もが感動する名作5選」
・辻夏悟「人生が嫌になってしまった時に読む5選」
・編集後記<巻末付録>「大島弓子年表」(内海惟人作成)


11月19日 


第13回白水Uブックス研究会開催。評論家・編集者の仲俣暁生氏をスペシャルゲストに迎えて。テクストも仲俣氏が選定してくださった。著書『ポストムラカミの日本文学』や編集者である『季刊 本とコンピュータ』を寄贈していただく。ついでにサインももらってしまう。斬新な「郊外」論に耳を傾ける贅沢な一夜となる(この日の様子は仲俣暁生氏の「はてなダイアリー」の「陸這記」を参照)。


■会報第24号 特集 堀江敏幸『郊外へ』

<特別寄稿>仲俣暁生堀江敏幸の「郊外」」<課題論文>
極楽寺坂みづほ「ある陰鬱な郊外」
・月立晶「「余白」をめぐる断片」
・南野うらら「『郊外へ』の孤独について」
・内海惟人「郊外から郊外へ」
・奈保千佳「視覚で楽しむ『郊外へ』」
・松浦綾夫「都市は囁く」
・辻夏悟「郊外組曲


2004年


2月25日 


第14回白水Uブックス研究会開催。


■会報第25号 特集 ヨーゼフ・ロート聖なる酔っぱらいの伝説

極楽寺坂みづほ「聖フランチェスコの憂鬱」
・月立晶「悲しいとき― 悲しいとき― 「奇跡」のからくりが空けて見えちゃうとき…」
・南野うらら「信仰か、冗談か」
・内海惟人「帝国というノスタルジー
・松浦綾夫「酔生夢死」
・辻夏悟「読書感想詩・動物化するポストモダン


5月19日


第15回白水Uブックス研究会開催。


■会報第26号 特集 ダイベック『シカゴ育ち』

極楽寺坂みづほ「ノスタルジーと忍び入る幻想」
・月立晶「生きている過去、死んでいる街―」
・南野うらら「願はくは透明な怒りのもとにて」
・奈保千佳「シカゴへの誘い〜都市というメタファー・シカゴ」
・松浦綾夫「世界の非中心で愛を叫ぶ」
・辻夏悟「『シカゴ育ち』私的ベスト3」
    「シカゴを、もっと立体的に知るためのブック&レコードガイド」

6月14日

新宿西口の高層ビルの展望レスランで、第3回文学フリマのテーマ「村上春樹」について、第1回検討会。各人持ち寄ったレジュメを発表したあと、質疑応答。


7月17日


青山ブックセンターの倒産のニュースを聞く。突然の事態に、全員「ズッ!」(C『なぜか笑介』)となる。偶然にも同日、新宿東口の某ビル上層階にあるカフェにて第2回村上春樹ファンブック検討会。春樹の行きつけだったジャズバーDUGにも足をのばす。


7月30日


極楽寺坂みづほ、別名義で執筆した長編小説が、某エンタティメントの大型新人文学賞を受賞。ぱちぱちぱち。


8月3日


極楽寺坂みづほの受賞インタビュー記事が中央紙2面にカラーで掲載される。「日本のカフカになりたい」とのコメントが印象的であった(「そんなこと言ったっけ?」本人談)。


8月18日


極楽寺坂みづほの受賞お祝いの会をお茶の水山の上ホテルのレストランで開催。U研メンバーからの祝辞を辻夏悟が編集した特別冊子、会報第27号『VINTAGE GOKURAKUJIZAKA』を発刊。極楽寺坂がU研会報に既発表した論考やエッセイの精選版を収録し、巻末に松浦が目録を作成。極楽寺坂ファン垂涎のレアな冊子となる(限定10部)。


9月25日


文学フリマに出す村上春樹ファンブックの取材のため、埼玉県某所に平山城立教大学名誉教授のご自宅を訪問する。古典から近代文学まで造詣の深い先生を囲んで、U研メンバーとの座談会。多くの切り口を提供してくださり、大変勉強になった。


11月14日 


第3回文学フリマ白水Uブックス研究会として参加。今回から従来の渋谷・青山ブックセンターから会場を秋葉原東京都中小企業振興公社に移しての開催となった。大塚英志さん、東浩紀さんの姿を見る。有名人を見るだけで嬉しいミーハーなメンバーは大喜び。


■会報第28号 特別号 蹴りたい春樹 〜文学フリーマーケット緊急記念号〜

・ 松浦綾夫 PREFACE  
・ 南野うらら(MC)+辻夏悟(MIX) INTRODUCTION「春と樹の詩(うた)」を聴け
・ 松浦綾夫+辻夏悟(作画) 漫画「ハルキくん」

・TRACK1 <評論>内海惟人「小説家の可能性」
・TRACK2 <エッセイ>奈保千佳「「僕」感覚共有のリミット」
・TRACK3 <小説>極楽寺坂みづほ「赤羽行きのスロウタクシー」
・TRACK4 <ホロスコープ>南野うらら+奈保千佳「お星様がみてた」

・TRACK5 <詩>月立晶「かえるの歌を聴け」
・TRACK6 <書評>辻夏悟「ルーツ・オブ・ア・レボリューション」
・TRACK7 <評論>松浦綾夫「物語は現実を超えられるか」
・TRACK8 <座談会>松浦綾夫+辻夏悟(構成)「U研、平山城児に会いに行く」
・TRACK9 <評論ホロスコープ>南野うらら「マイナス100パーセントの恋愛小説」
村上春樹なんでも5選
・松浦綾夫「未来に読み継がれるかもしれない長編5選」
極楽寺坂みづほ「作為を感じるムカつく5選」
・内海惟人「ハードボイルドな<オレ>が好きな短編5選」
・南野うらら「消える女の物語5選」
・奈保千佳「「僕」よりも素敵な名脇役5選」
・月立晶「この女とは暮らせない5選」
・辻夏悟「無性に音楽が聞きたくなる作品5選」
・編集後記<別冊2大付録><最新刊メンバー書評>『アフターダーク』ブックレビューズ<ポスター>ささきるり(作画)+辻夏悟(企画)『KING OF BUNGAKU』


12月22日


極楽寺坂みづほの小説単行本が全国で一斉発売され、都内各所の書店で平積みに。ごっそり上段がなかったり、けっこう売れている情景も目撃された。


2005年


1月24日


第16回白水Uブックス研究会開催。都内某所の居酒屋でスティーヴン・ミルハウザー『バーナム博物館』をテクストにしたU研。新年会でもある。今回からレポートを綴じた冊子の装丁をカラー化し、辻がエディトリアルにも力をこめる。極楽寺坂の出した単行本にみなでサインをもらう。ミルハウザーの作品は新しさがない、書かれる意味がわからない、翻訳者の柴田元幸の力が大きい、など否定的な意見があいついだ。今までのUブックスではどれが一番よかったか、などという話題も出た。2次会はいつものカフェへ。

■会報第29号 特集 ミルハウザー『バーナム博物館』

パート1 『バーナム博物館』論

極楽寺坂みづほ「脳が拒絶する細部」
・月立晶「物語の影で」
・南野うらら「『バーナム博物館』に、ちょっと困りました」
・松浦綾夫「「物語」の博物館」
・辻夏悟「作者 VS. 言葉」
・内海惟人「『バーナム博物館』感想」

パート2 「極楽寺坂みづほ」によると世界は
極楽寺坂みづほ「サッカな俺〜自作の受賞から出版まで」
・奈保千佳「五里霧中」
・松浦綾夫「一族再会」
・辻夏悟「極楽寺坂みづほ未発表作品感想文」


4月28日


第17回白水Uブックス研究会開催。山手線の某駅近くの小料理屋で今年2度目のU研。めずらしく全員定時に集まり、レポートも事前にそろった。今回のキュレーターは松浦綾夫。エミリオ・ルッスの『戦場の一年』が選ばれた。この料理屋は客あしらいのできる女将もよかったが、向かいの席にある冤罪事件を擁護する市民団体がいて、U研と座敷を二分している眺めがおもしろかった。第一次大戦に従軍したルッスの自伝的な小説である本作の虚構性をめぐり、「作者論」と「読者論」の視点から、戦場の記述の虚偽性をめぐる話にまで発展したのはすごかった。現在の戦争のリアルとはサブカルチャーでしかない、とする有意義な指摘もあり、充実の結成7年目のU研である。メンバーの多くが戦争への危機感をもっている。2次会のワインバーはワインの種類が豊富でよかった。


■会報第30号 特集 エミリオ・ルッス『戦場の一年』

パート1 『戦場の一年』論
・月立晶「ある好事家からの手紙」
極楽寺坂みづほ「狂気のサラリーマン社会」
・内海惟人「『戦場の一年』をめぐる複数の問い」
・南野うらら「『戦場の一年』における私の萌えどころ」
・奈保千佳「進軍という日常」
・松浦綾夫「平和のなかの主戦場」
・辻夏悟「妄想する力」

パート2 U研メンバーが選ぶ戦争文学3選
・松浦綾夫「戦争を描いた日本文学3選」
・内海惟人「戦争文学3選」
極楽寺坂みづほ「SFにおける戦争文学3選」
・辻夏悟「アメリカの戦争文学3選」
・月立晶「戦争文学3選」
・奈保千佳「政治少女だった私が選ぶ3選」
・南野うらら「演劇化・ドラマ化したい日本の戦争文学3選」


5月26日


都内某所の喫茶店文学フリマのうちあわせを編集委員の松浦綾夫、辻夏悟、南野うらら、そして内海惟人で。おいしいケーキを食べながら話す。ここは昔、笙野頼子も編集者とのうちあわせに使っていたところ。松浦の提案した「戦争文学がわかる」というコンセプトで押そうという方向性でまとまる。秋葉原と戦場、美少女と戦闘服、サブカルと戦争など、広いテーマから、政治に関わらない、純正なブックレビューを目指す。マーケティングについても検討を重ねる。


5月30日


白水社 編集部さんより、白水Uブックスの入った「白水社 新書カタログ 2005」最新目録をお送りいただく。しかも、U研メンバー全員分を頂戴する。このまえのU研の冊子を、辻が編集部宛に送ったからなのだが、早速にありがたいことである。


7月15日


第18回白水Uブックス研究会開催。フレンチのコース料理を食べ、ワインを呑みながら、アンドレ・ブルトンの『ナジャ』を語るU研の夕べ。今回なんと初のキュレーターである内海さんの司会で進行してもらう。フランス文学生粋のテクストながら、ナジャという謎めいた女をただの狂女、それを利用した(利用された)ブルトン……という解釈が意見の大勢を占めた。ナジャはただの電波女? ブルトンという文化人に集まるグルーピーのひとり? こういう意見が出るのは、日本にはどんなロマンが入ってきても矮小化する、自然主義受容のケースと同じなのか。『ナジャ』は写真が入っていて、きれいでおしゃれなテクスト。内海はフランスの原書版を持参していた。2次会は前回つかった小料理屋でメンバー全員の署名入りのキープボトルを呑みながら。今年の文学フリマのテーマ・戦争文学論のほうで盛りあがる。


■会報第31号 特集 アンドレ・ブルトン『ナジャ』

・ 内海惟人「アンドレ・ブルトン『ナジャ』について」
・ 辻夏悟「『ナジャ』を読む」
極楽寺坂みづほ「20年越しの「検証」」
・松浦綾夫「シュルレアリスムの女神」
・奈保千佳「『ナジャ』ってなんじゃ?」
・南野うらら「ナジャという女」


8月12日


第4回文学フリマへの助走として、ルノアールの会議室をおさえて、戦争文学の座談会をおこなう。全員集まって、①三崎亜記『となり町戦争』、②こうの史代『夕凪の街 桜の国』という2冊のテクストをとりあげ、2部構成でそれぞれ意見をのべあう。松浦綾夫が司会をつとめ、辻が録音機をまわした。『となり町戦争』は仮想現実的な現代の戦争を描くものとして、現在形で戦争を語る意義は認めるものの、よくも悪くも不透明な作という評価。『夕凪の街 桜の国』は少女漫画のかたちを借りて、風化されつつある広島の現在をわかりやすく描いた手法に共感しながらも、政治性を意図的に欠いた内容に賛否がわかれた。U研はじまって以来の議論の白熱ぶりだった。2次会は地下鉄の駅通路にある穴ぐらのような居酒屋へ。


10月14日


第4回文学フリマの冊子「戦争文学がわかる」(仮)のうちあわせ。前回とおなじくルノアールの会議室でおこなう。全員でレジュメを持ちより、各人発表をして、他のメンバーから意見をもらうというスタイル。なかなかおもしろかった。戦争という重いテーマをどうかみくだき、現在的なものとして、若い読者に手渡すか、そこに力点がおかれた。今回はテーマが多義的なので、冊子の統一性がむつかしい。3時間以上も討議をしたうで、これまた前回と同じ地下の穴ぐらのような居酒屋へ。


11月13日


第4回文学フリマのための冊子の製本作業。タイトルは「戦争文学がこんなにわかっていいかしら」に決定。全員集まったところへ、外部のデザイナー・よしたか官兵衛氏がデザインした表紙(プレボケ風のカラー写真をあしらった)がとどき、作業開始。コピー機を使って印刷かけたあと、手折工程、ホチキス止め、といった手製本作業を経て、完成。なにしろ4回目なので、製本の腕が上がっている。すべて手作りである。打ち上げは近くのベトナム料理屋へ。


11月20日


第4回文学フリマ白水Uブックス研究会として参加する。場所は昨年につづき秋葉原東京都中小企業振興公社。壁面にでかでかとポスターを張る。「戦後60周年特別企画」と銘打った、戦争文学論集『戦争文学がこんなにわかっていいかしら。』を用意して望む。さらに、昨年好評だった『蹴りたい、春樹。』もブースに並べる。こちらには村上春樹の新刊『東京奇譚集』のU研全員ブックレビューも特典に付ける。11時にスタートし、予想以上の人気で2時前にはすべて売り切れてしまう。U研のウェブログを見てきてくれた人や毎年買ってくれる人……続々と押し寄せる。今回はテーマが重かったため、反応が少ないか、と思いきや、高校生くらいの若い人からかなりのご年配の方まで…有名な編集者さんや歴史ある同人誌グループの方たちも…関心をしめしてくれたので、大成功であった。閉会後、U研全員で秋葉原名物のメイド喫茶へ出かける。打ち上げはお茶の水山の上ホテル南欧料理にて。


■会報第32号 特集 戦争文学がこんなにわかっていいかしら。 
―戦後60周年 わかりたいあなたのためのブックガイド―

SPECIAL TRACK<小説> 極楽寺坂みづほ「ケルベロス行軍」
SIDE A<評論> 松浦綾夫「お父さんのための戦争文学入門」<コラム>辻夏悟「雨降りだからアメリカの戦争文学でも勉強しよう」<評論>内海惟人「鏡の国の「戦争本」ガイド」<コラム>松浦綾夫「戦争と映画」<座談会>話題作を読む〜第1部『となり町戦争』<コラム>内海惟人「現代思想と戦争」
SIDE B<評論>南野うらら「坂をのぼったら雨」<コラム>松浦綾夫「戦争とアニメ」<コラム>奈保千佳「児童戦争文学と私」<詩>月立晶「聖家族」<座談会>話題作を読む〜第2部『夕凪の街 桜の国』<コラム>南野うらら「コミケと戦争」

BONUS TRACK<僕らが選んだ戦争文学5選>
・松浦綾夫「これだけは読んでおきたい戦争文学5選」
極楽寺坂みづほ「SFにおける戦争文学5選」
・内海惟人「どれでもいいから一冊は読んでほしい5選」
・南野うらら「私の好きな西洋古典古代な戦争文学5選」
・奈保千佳「元政治少女必携の児童戦争文学5選」
・月立晶「魂の戦争文学5選」
・辻夏悟「アメリカの戦争文学5選」
・編集後記

別冊付録<小説>南野うらら『イントロダクション 戦争文学がこんなにわかっていいかしら』(辻夏悟ミックス)

続く…。

(2005年12月現在/目録作成、松浦)