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[日誌]ルソー『告白』を読む④

『ルソー研究』の「人間ルソー」を読んだが、あまりピンとこなかったので、『告白』を数日寝かせておいた。久々に手にとって読んだら不思議に面白く読める。どうしてかと思えば、思想家ルソーにはあまり興味はないが、歩行者ルソーには、昨年読んだレベッカ・ソルニット『ウォークス』やいま仕事で関わっているプロジェクトに関連していて興味があるのだった。ちょうどこんなところである。

わたしは信心家ぶる案内者と、その快活な細君とともに、陽気に旅をつづけた。道中無事、身体も精神もかつてないほど爽快であった。若くて、元気で、健康にみち、何の心配もなく、自分にも他人にも信頼しきっていたわたしは、この短いけれども貴重な人生の一時期にいたのだ。あふれるような充実感がいわばあらゆる感覚によってわれわれの存在を拡張する。そして生きていることの魅力が、全自然をわれわれの目に美化する、そういう時期なのだ。

わたしの全生涯を通じて、この旅についやした七、八日の間くらい、まったく気苦労のなかったことはまたとない。サブラン夫人の足に合わして歩くので、長い散歩のようなものだった。この思い出によって、この旅に関係のあったことが、後にどれもこれもひどく好きになった。とくに山と徒歩旅行だ。

まず第一にしたことは、市街を一巡して好奇心をみたすことだった。いわば、これは自分のえた自由を実行してみるだけにすぎなかったが。

もっぱら独立と好奇心の満足をたのしんで幾日もすごした。市の内外をうろついて、珍しいもの目新しいものを、片はしからさぐって見てまわった。

積読になっていたソローの『歩く』をちょうど読みはじめて、「なんか自然のなかを歩けばっか言っててつまんねーなー」と思っていたところだったので、都市を歩くルソーの姿が新鮮に見えたというのものある。

 

告白 上 (岩波文庫 青 622-8)

告白 上 (岩波文庫 青 622-8)

 
歩く (一般書)

歩く (一般書)