78-01-01から1年間の記事一覧
「私とは誰か?」で始まるこの小説。そもそも僕にとっては「アンドレ・ブルトンとは誰か?」、「シュルレアリスムとは何か?」というレベルの話だったので、まず一応、基本的なことだけは勉強してみた。巖谷國士の『シュルレアリスムとは何か』(ちくま学芸…
愛した女への思慕をつづり、写真をコラージュし、小説だか、日記だか、論文だか、判然としない、フリーなスタイルのテクスト。これって今なら、ウェブ日記とかでよくあるけど、1928年に書かれた、ってことを考えると、斬新だよね。 白水Uブックスの『ナ…
シュルレアリスムというと私は文学より美術の方に馴染みがあり、小説を読むのは多分初めて。読みはじめてうーん、よく分からない。読み終えてもなんか狐につままれたような、感じ。でも、なんだかとっても切ない気持ちになる。ナジャに会いたいっていう著者…
まず一読して、ブルトンの詩人としての自意識の強烈さ、転んでもタダでは起きない貪欲さに辟易しました。この「小説」は実在の女性ナジャとの交遊を描いた一種の「ノンフィクション」ですが、これだけ濃密で主観的な描写に埋めつくされていれば創作以上の創…
老いた耽美家にして、キリストの頭をしたえせ革命家、雄牛のブルトンここに眠る。口いっぱいにきれいごとを頬張った男は、人間ではなく牛だ。坊主だ。さもなければ、名づけようもない生き物、髪ぼうぼうの痰壺頭の動物、去勢されたライオンだ。――G・バタイ…
私は知った。「巖谷國士」が「イワタニ・コクシ」ではなくて「イワヤ・クニオ」であることを。私はこの名を幼い頃から非常にしばしば目にしていたと思う。「思う」と言うのは、それが今私の目の前にNTTドコモの景品である「ドコモダケ」が存在していると…
ナジャ (白水Uブックス)作者: アンドレブルトン,巖谷国士出版社/メーカー: 白水社発売日: 1989/05メディア: 新書購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (11件) を見る 現実のパリの町で詩人が偶然に出会った妖精ナジャ。シュルレアリスムの大天使ブル…