アンドレ・ブルトン『ナジャ』
- 作者: アンドレブルトン,巖谷国士
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1989/05
- メディア: 新書
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現実のパリの町で詩人が偶然に出会った妖精ナジャ。シュルレアリスムの大天使ブルトンに於て達成し得た比類ない真の生のドキュメント。「私とは誰か」という人間の根本的な問いかけ、愛と自由についての研究、シュルレアリスム精神の極地、その未来への懇請が奇跡的に浮き彫りにされている。(白水社ホームページより)
■アヤヲ会長の日記より
目白駅近くのフレンチでU研。アンドレ・ブルトンの『ナジャ』をやる。今回なんと初のキュレーターである内海さんの司会でブックトークを進行してもらう。香草が豊富な分量のけっこうあるフレンチを食し、赤ワインのボトルを抜いて、みなで語りあう。高貴に輝けるフランス文学生粋のテクストながら、ナジャという謎めいた女をただの狂女、それを利用した(利用された)ブルトン……という、いささか卑小な図式、解釈が意見の大勢を占める感があった。ナジャはただの電波女だろうか? ブルトンという文化人に集まるグルーピーな女のひとりだろうか? でも、それって日本に入ってくるとどんなロマンも矮小化するという自然主義の受容と同じで、受け入れる日本側の読者の土壌ってこともあるよなあ、とヘンなところで感心する。今読んでも写真が入ってたり、きれいでおしゃれで、いいテクストだと思うけどね。異文化を超えてアクチュアルな、生あるテクストのあり方って、ほんとむつかしいね。内海さんはフランスの原書版を持参していた。2次会はこのまえエミリオ・ルッスの『戦場の一年』の会場となった小料理屋でメンバー全員の署名入りのキープボトルを呑みながら。今年の文学フリマのテーマ・戦争文学論のほうが盛りあがる。願わくはU研が日本のシュルレアリスム派たらんことを!?
■課題レポート