実家(テラ)へ
- 作者: 常盤新平
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1990/07
- メディア: ハードカバー
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図書館で借りた常盤新平の本をパラパラ読みながら実家に帰る。青地に黄色いタイトルの装丁がおしゃれである(AMAZONには画像が無いので残念)。
これは文庫本についての短いエッセイを集めたもの。雑誌『波』に連載された。本をどこで買って、どんな状況で読んだのか、いちいち書いてあるのが嬉しい。僕がこのブログで本の内容よりも、本を読んだときの状況ばかり書いているのも、本の内容を書くのが面倒くさいだけではなく(もちろんそれも大いにあるのだけれど)、ただ単に自分がそういう記述を好きなのである。
この本を読んでいて「お」と思ったのは、翻訳家の清水俊二について書かれた次の箇所。
清水先生はレイモンド・チャンドラーの翻訳者としても知られた。『長いお別れ』や『さらば愛しき女よ』(共にハヤカワ文庫)の訳文についてうかがったとき、先生は、あれは高見順の文体をお手本にしたと言われた。(P209)
へえ、あの透明で静謐な文体は高見順から来てるんだ…。って高見順ってどういう作家?(彼の『いやな感じ』は沢木耕太郎氏が、どこかで勧めているのを読んだことがあって、古本屋で見かけるたびに買おうと思うのだが、結局購入までに至ったことはない)
実家では祖母に戦時中の話を聞く。うちの祖母は東京大空襲も経験している。いつもは寡黙な祖母が珍しく饒舌な夜だった。