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U研メンバーが選ぶ戦争文学3選(最終回)

電気グルーヴ聴きながらアップしてます。南野“id:URARIA”うららさんによる5選。

演劇化・ドラマ化したい日本の戦争文学3選



1)『総員玉砕せよ』 水木しげるISBN:4061859935
2)『神聖喜劇大西巨人ISBN:4334733433
3)『私の中の日本軍』 山本七平ISBN:4167306018

1は、いきなり漫画でスミマセン。しかしこの作品は美しい。構成が完璧、演劇向き。クライマックスで兵士たちが歌うシーンがまるでギリシア悲劇のコロスみたいで最高。もし演劇化されたら、絶対に欧米演劇界でもウケるでしょう。日本のソフト産業のメインコンテンツとして今こそコミックとセットで輸出してほしい。演出は野田秀樹希望。

2は、『シナリオ 神聖喜劇』も出ているということで。深夜ドラマ枠。驚異の記憶力で新兵イジメをかわしてゆく東堂上等兵は流行りの美男新進俳優さんを慎重に選ぼう。彼を苛めるちょっとサディスティックな人々も個性派いい男俳優で固めよう。演出はクドカンで、テーマ曲は外したロック調の歌とかでチープに。きっと人気爆発のハズ。だってこれ一種『バトルロワイヤル』みたいな話じゃんか!

3の本に出てくる、例の「百人斬り」事件をとりあげて、良心の呵責に悩む新聞記者を主人公に、誰か小説なり演劇を書いてくれないものか。とても面白いと思うんだけど。山本七平(偽ユダヤ人=イザヤ・ベンダサン)は昔、新左翼に保守反動として仇敵視された人だけど、今読むと、論争下手な山本氏の、微妙に空回りしている真剣さ、必死さはなかなか愛おしい感じです。歴史修正主義者みたいに言われちゃうこともあるケド、ちゃんと「私の中の」って留保してるとこが健気じゃん! 「虚報」とは何か、戦時下のジャーナリズムの良心とは一体何なのかという、彼の問題提起に関しては、今、もっと深く広く考えられてしかるべき問題であると思います。