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イタリア人の名前は覚えにくい。

戦場の一年 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

戦場の一年 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

来週のU研定例会のテキスト。イタリア人の名前って覚えにくーい! という愚痴は、とりあえず置いといて。

第一次世界大戦中のイタリアを舞台にした話なのだけれど、id:urariaさんと違って、世界史に関しては白痴も同然なので、このテキストに対してどうアプローチすればいいのかよく分からない。

カート・ヴォネガットスローターハウス5』、ティム・オブライエン『カチアートを追跡して』、ジョゼフ・へラー『キャッチ=22』など、私が知っているアメリカ文学の戦争物の傑作は、だいたいナラティブがぶっ壊れている。要するにトラウマティックなのだ。どの作者も、戦争という出来事を語るために、もう七転八倒してテキストに文章を刻み付けている(ように見える)。

それに比べて『戦場の一年』のナラティブは、わりとストレートだ。しかし激しい戦闘シーンになると語り手の記憶も記述もあいまいになってしまう。わーっと戦いがあって、何が何だか分からないが、いつのまにか生き延びていた…、と。それが戦場のリアルと言うものなのだろうか。そこらへんは読んでいて、とても切ない。