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難しいけど刺激的

ジェンダー/セクシュアリティ (思考のフロンティア)

ジェンダー/セクシュアリティ (思考のフロンティア)

ジェンダー論の入門書かと思って手にとったら違いました。何らかの「答え」を出すというより、ひとつの「問い」としてあるような本です。だから感想を書くのは難しい(←言い訳)。ていうか、内容が難しいのDEF…。断片的に、個々の議論の内容は分かる(ところもある)。しかし、全体として、この本は何を書いているのだと言われると答えに窮してしまう。自分の言葉に直せない。著者の田崎さんは「あとがき」で、あっさりと次のように書いています。

セクシュアリティは、「自己」の存在に関わるのであって、人間の分類に関係するのではないということだ。セクシュアリティを、分類に基づく集団への帰属の原理と見なさないことである。本書は、ほとんどこのことしかいっていない(P123)

個人的にビクンと反応してしまったのは

私たちはついつい性と生殖が切り離せないように思ってしまうが、生物学的にはこれは間違いであり、私たちがたまたま多細胞生物に生まれついたことからくる一種の偏見(多細胞生物中心主義?)にすぎない(P45)。

なんてところでしょうか(他にも色々ありますが、書いている時間がありません…)。

フーコーの生−政治から、ハンナ・アレント精神分析、生物学まで、取り上げられる話題は多彩です。分からないところでも立ち止まらないで、是非、最後のパラグラフまで読んでみてください。そこで初めて、パッと全体の意味が浮き上がります(まだ読んでない方のために、その部分の引用は控えます)。

巻末の文献案内も含めて100頁ちょっとの薄い本なのに、ものすごく読み応えを感じさせる刺激的な本でした。ただ、こういう現代思想系の本の常として抽象度がちょっと高すぎるかな。もちろん難しいことを分かりやすく書くと、そこで何か取りこぼしてしまうものがある。でも現実の問題に、もうすこしだけ接続してくれると読みやすいし、毎日のサラリーマン生活にも役立つのになあ(←どういう風にだ?)。

自分としては再読して理解可能な部分が大半であることの方を悔やむべきかもしれない(P124)。

よし、もう一度、読んでみるか。