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五感をしびれさせてくれたアート・ベスト10 松浦綾夫


1.奈良の仏像めぐり

自制していた仏像めぐりを解禁。法隆寺薬師寺、新薬師寺興福寺東大寺など、奈良の著名な仏像を片っ端から見まくる。仏師たちの至純の祈りはかくも美しい造化を生みたもうた…ただ、感心。


2.フェルメールドレスデン美術館展

国立西洋美術館で観るフェルメールはこれで3点目。「窓辺で手紙を読む女」のガラスに映る像の美しさといったら…ああ、眩暈が。アムスにもハーグにもパリにも観に行ったが、まだまだ世界中で観るぞ!


3.藤沢遊行寺「一つ火」

時宗の総本山に700年間伝わる行事。僧侶たちの読経のあと、阿弥陀仏の十二光にたとえた紙燭を消し、真っ暗闇にした堂内で火打石により再び火をともす…このシンプルな荘厳さに唖然。


4.リチャード・ブローティガン『ビッグ・サーの南軍将軍』(河出文庫

こんなにおもしろい小説がまだあったのか、と愕然。しかも高橋源一郎の『さようなら、ギャングたち』ってこの小説の本歌取りだったんだね?! 今まで全然気がつかないで生きてきた。


5.劇団民藝『火山灰地』(第1部・第2部)

戦後半世紀を経て甦った、リアリズム演劇の大作。久保栄の自然・人間・経済を対峙させた、傑作戯曲の舞台化だが…期待を上回る舞台では到底なかった。が、その隔世の感こそ発見だった。


6.ムーンライダーズライブ(渋谷AX)

待望久しかった新譜に合わせての公演。アルバムは個人的で内省的で難解になる一方だが、ライブはわかりやすい。前衛としての役割が衰えたのは年齢のせいだけ? 鈴木慶一にはもっと暴れてほしい。


7.『戦争を学ぶミュージアム/メモリアル』(岩波ジュニア新書)

30代の研究者2人の共著。子供向けながら、全国と海外の戦争博物館巡りのガイドとして、最高の一冊。歴史記述も公正で正確。U研の『戦争文学が…』と重なる視点も多くびっくり。


8.映画『山中常磐』(羽田澄子監督)

浮世絵の開祖・岩佐又兵衛が描いた長大な絵巻物「山中常磐」をすべてカメラで写したドキュメンタリー。母子の別れ、酸鼻な惨殺場面に絵師本人の私小説的な出生がかぶさり鬼気迫る。


9.伊藤桂一悲しき戦記』(講談社文庫)

今年正対した作家のなかで伊藤桂一の戦場小説はどれも圧倒的に優れていた。詩情と歴史記述を小説に昇華させた例として前人未踏のはず。やはり小説は魂でつづるものなのだ、と痛感。


10.神田古書街めぐり

とくに用もないのに神田の古書街を老舗中心に幾度かぶらぶらした。北園克衛の美装詩集や中島敦の色紙や井伏鱒二とか村上春樹の生原稿があったり…どれも売り物だと思うと鳥肌が立った。


(順不同。思いつくまま)