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これぞ「香ばしい」文学評論

現代小説のレッスン (講談社現代新書)

現代小説のレッスン (講談社現代新書)

石川忠司氏の本は、どれも思考がラディカルで面白い。最新作は、読むと元気になる文学評論。

村上春樹の小説を

要するに、村上春樹の「僕」が世界と「コミット」する流儀は、互いに互いの顔を向け合うというすっきり対称的なかたち――デタッチメントのときとは顔の向きが正反対――を成しはしない。結局それは端的に、「僕は世間に対し顔を背けているんだけれど、世間の側はなぜか「僕」を熱く見つめている」という、なかなか香ばしくも非対称な(=自分勝手な?)かたちをなすのである。(P118)

と喝破する痛快さ!(あ、中沢新一氏がどこかで書いていた「圧倒的な非対称」ってこのことか!(←違う))

同氏の『現代思想パンク仕様』(ISBN:4120026566)、『文学再生計画』(ISBN:4309013376)もお勧め。