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U研メンバーが選ぶ戦争文学3選(6)

奈保“id:nahochika”千佳さんによる5選。

○○少女だった私が選ぶ3選



1)『キャッチ=22』 ジョゼフ・ヘラー(ISBN:4150401330)
2)『まちんと』 松谷みよこ(ISBN:4034380101)
3)『猫は生きている』 早乙女勝元(ISBN:4652020058)

 1この作者も自身が戦争に参加した経験を持つ。ノルマンディー上陸作戦を描いた本書は、戦争の中で現実と狂気の境目がつかなくなった登場人物たちの姿が滑稽にかつ悲しく描かれている。現実と狂気を表現する手段として、時間軸が途中からごちゃ混ぜになってくる。この波に乗れてしまうと、なんとも言えないいやーな感覚が体験できる。

 2これは原爆を扱った絵本。戦争文学の範疇に入れてよいのか微妙。原爆にあった少女が「まちんと、まちんと」とトマトを欲しながら死んでいくお話。最期、この少女は鳥になって空に飛び立っていく。まちんととはもう少しという意味。司修という人が作画担当。少女の目が鋭くて、背景がまばゆい黄金色で、なんか子供心にぞっとしたことを覚えている。

 3本田勝一とならぶ左翼の巨匠、早乙女勝元の原作。東京大空襲に遭う一家庭(父は戦地に、母と乳飲み子含む4人兄弟+猫一家・4匹)の話。これ、子供向けにしては、けっこうリアル。特にお母さんが乳飲み子を抱えて炎の中を逃げ惑い、最期、爪がはがれるのも構わず穴を掘って、乳飲み子に乳を吸わせて覆いかぶさるシーンは泣ける。かろうじて、生き延びるのは長男なのだが、最期、「ぼく、もう疲れた。」といって川に流されいくシーンもつらい。そして猫一家はどうすることもできずに、僕を見送る。そんな救いようのない話。

『キャッチ=22』って、ノルマンディー上陸の話が出てましたっけ…。今度、読み返してみます。

ところで、これって映画になっているんですね。『卒業』のマイク・ニコルズが映像化して、オーソン・ウェルズアート・ガーファンクルなんかが俳優として出ているらしい。一度、見てみたい。