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サム・プレコップの新作が出たよ

WHO'S YOUR NEW PROFESSOR

WHO'S YOUR NEW PROFESSOR

昨日、発売されたばかりのサム・プレコップの新作を買う。確か6年ぶりぐらいだから、まさに「待望の」新作だ。しかし、ジャケットの帯に「最高傑作」と書いてあるけれど、アルバムを2枚しか出してないのに「最高傑作」はないんじゃないかな。


一聴、普通に良いアルバムなんだけれど、正直、物足りないところがある。サム・プレコップの歌メロってのは、カーティス・メイフィールドのように思いっきりクリシェクリシェの2乗(Cキリンジ)なわけで、結局それをどのような意匠で聴かせるかがポイントなのだと思う。前作はジム・オルークのプロデュースが見事にはまったのか、飽きずに聴けた。今回は、ちょっと眠い(今もこれを書きながら聴いているのだけれど。)


サム・プレコップ

サム・プレコップ

それにしても、サム・プレコップのファースト・アルバムからは猛烈に「ミラクル」を感じたものだ。ネオアコやブラジル音楽の影響を感じさせる、繊細で完璧な音楽。もし自分が楽器ができるなら、こういうレコードを作りたいと思った。

しかも一つ一つの楽器から出ているパルスはてんでバラバラな方を向いて、ゆるゆるにズレている(ように聴こえる)のに、総体としては、ちゃんとスイングしている。


人が音楽に求めるものは色々あると思うけれど僕の場合は、「色んな人が、色んな考えを持って、色んな楽器で、色んなスタイルで演奏しているけれど、結果としてその状態で、なぜか、すごく気持ちよく音が鳴っている」という部分に一番、惹かれる(すごい限定的ですね…)。

アコースティックからエレクトリックに移行しようとしている時代のマイルス・デイビス・バンドなんかに、その状態は頻繁に現れる。

どのメンバーも自分の立ち居地が分かっておらず、しょうがないので、よく分からないながらも精一杯、自分の出来る演奏をしている…という。

リーダーであるマイルスも「ジャズ、来るべきもの」を見据えて、強烈なリーダー・シップを発揮しているように見せながら実は「分かっていない」。


この状態から発生する、なんとも言えないグルーヴ…これですよ。