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カーネーション「SUPER ZOO」

カーネーションの新作「SUPER ZOO」。ここ何日かずっと聴いているけれど、すごく良い。

前作「LIVING/LOVING」が、カマイタチが起こるほど豪快な「空振り」だったとしたら、本作はバットの真芯でとらえた弾丸ライナーが外野手を直撃して、そのまま外野手は昇天…みたいな。(もちろん空振りは、空振りでも男気あふれる素敵な空振りであることは言うまでもない)

かつての「天国と地獄」に感触は近い気がする。Aメロは禁欲的にファンクに徹して、サビで一気に開放感溢れるポップなメロディになる楽曲が多いところとか。メロウです。

実は「PARAKEET & GHOST」以降のカーネーションは少々苦手だった。直枝氏のソングライティングが微妙に変わり、気合は充分なのに、それに曲が追いついていかないというもどかしさを常に感じていた。

「SUPER ZOO」は一曲、一曲は地味なんだけれど、どの曲も小技が聴いていて完成度が高い。そして、どの曲も大人の男の余裕を感じさせる。どんなに青いことを歌っても、そこにはこれまでになかった貫禄が漂っている。前作は「押し」ばかりで息苦しいところもあった。しかし、ここにはちゃんと「引き」があるのだ。

それにしても「SUPER ZOO」みたいな社会派な歌詞を、若いバンドが歌ったら、かっこ悪いことこの上ないのに、直枝氏が歌うとビシリと決まるのはどうしてでしょうね。

付録のDVDのビデオクリップ集の最後に、ベースの大田譲氏の健康診断の結果が「D」判定だったことをめぐる直枝氏と大田氏本人の会話が収録されている。判定は血圧が高めだったせいらしい。なんだか、しみじみと笑えた。

初めてカーネーションを聴いてから10年近くが経つ。当たり前の話だけど、僕と一緒に、カーネーションも同じだけ年をとったんだよな。