パンツを穿いて静かに
- 作者: D.W.ライト,沢崎順之助,江田孝臣,森邦夫
- 出版社/メーカー: 思潮社
- 発売日: 1999/06
- メディア: 単行本
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会社で僕の仕事のアシスタントをしてくれている文科系女子の機嫌がすこぶる悪い。
GW直後に何の前触れもなくいきなり辞めてしまった女性の仕事を、充分な引継ぎもなしに、やってもらっているのだから当然なのだが。
気持ちは分かる。痛いほどに。
でも、でもね。。。俺だって物理的に胃が痛いんだよ(きりきり)。
もしかしたら、その文科系女子がこのブログを読んでいるかもしれないので(ないか)、僕が精神的に追い詰められたときに読むことにしている、ビート詩人ローレンス・ファーリンゲティの詩の一節を引用しておく。
もし僕がきみだったら
冬用の特大パンツを用意しておくだろう
あの楽しい夜に裸で出ていくな
パンツを穿いて静かに
温かくほくほくしていよう
始まっていないのに先走って
「空騒ぎ」することはない
チョッキに片手をいれて
威儀をただして出ていこう
興奮するな
死神に支配はさせないぞ
きみ 時間はまだたっぷりある
ぼくたちはまだ若くて気楽だ
騒ぐことはない
(沢崎順之助訳 ローレンス・ファーリンゲティ「パンツ」
『アメリカ現代詩101人集』思潮社)
こういうときだからこそ、僕らはチョッキに片手をいれて威儀をただしていこう。
雪をかぶった松の枝々や霜を見つめるには
- 作者: 長田弘
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/06
- メディア: 文庫
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人は 冬の心をもたねばならない。
雪をかぶった松の枝々や
霜を 見つめるには。
そして 長いあいだ 寒さに身をさらさねばならない。
ばさばさの凍りついたネズの木や
一月の うっすらとした陽が射している
がさがさのモミの木を 眺めるには。
わずかにのこった 木の葉のざわめきや
風の音を 苦にしないようになるには。
はだかの場所を吹きぬけてゆく
風の音が、
この国の音。
雪の中で 風の音に耳を澄まして
無にほかならない人が じっと見ている
何もない場所 そこにある無。
明日も頑張るかー。